『蟹工船』 リベンジ
2009年 07月 27日
高校生の頃一度読んでいたけれど,よく分からなかった。暗いといった印象だった。プロレタリア文学っていわれてもよく分からなかった。
ここ数年,ワーキングプアについて報道番組でも騒がれるようになり,時代もあいまって書店でも山住になっていた。流行もの読んでいるようで,新たに読み直すことをためらっていた。グダグダと読み直しをして,やっぱり暗い。切ないと感じた。書評を読んでいると,表紙空手にとる方もいるようだ。
以下,勝手気ままな私なりの感想。
労働の過酷さというより,人間が人として生きることについて触れている。それ故,ワーキングプアの折に話題になってしまう書籍なのだ。人間には搾取する側,される側がある。される側はその事を知り,団結しなくては権利を勝ち取ることはできないのだ。
この書籍が執筆された当時,労働者は本当に知らないことが多かったのだろう。学識も与えられず,ただただ言われるがまま賃金を得る目的で働く。著者やその周りで活動する人は「本当のこと」と言うのを伝えるために,個人的生活を捨て去っていたと記されていました。周囲の目,官憲を気にし目をつけられぬように生きていたと。
彼らがあまりに弾圧されたのは本当のことを伝えようとしたからだと歴史が証明してくれているだろう。また,この数々の犠牲者の方が残してくれた書を『表現の自由』として読むことができる今に生きる私は,もっとその事を自覚していかねばならない。
人間の自由,権利とは?考えることは多かったけれど,やはり後味はよいとはいえない。まぁ8月末に,松田龍平出演で映画も上映される。見にいってこよう。