中学1年生の視点~見ることと描くこと~
2010年 11月 03日
美術の鑑賞で,「『正解』『答え』といったものはありません。クラスの人の意見を聞いて,共有しあう時間だよ。」と伝えている。
最近1年生の鑑賞で,教科書を使い5点の作品の鑑賞をしました。どのクラスでも,「ここに載っている作品は全て絵なんだよ!」と伝えると,「えーーー?(注:シャレではありません)」と,驚き改めて作品を見てみようとする反応が返ってきました。
多くのクラスで圧倒的な人気というか注目の的は,上田薫さんの作品だった。アイスが描かれているけれど,生徒の中にはアイスよりも「スプーンの光り具合(光沢があって)がリアルでカッコいい」と発表していた生徒もいました。
野田弘志さんの作品。全体的に小ぶりなモチーフで構成された作品が掲載されている。これも,気になった生徒も多かったです。「白いものの描き方が,丁寧できれいに感じた。」「どことなく静かな感じがした。」といった感想を聞くことができました。
小泉淳作さんの『蕪』,唯一墨描かれている作品です。これは,野田弘志さんの作品と,比較鑑賞させたときに聞くことができた意見です。
「背景が真っ黒で,どっしりとした印象を与えている。」「細かな細かな根を丁寧に観察していることが分かる。」「凸凹とした感じが,墨の濃淡で丁寧に表されている。」
シャルダンの『水の入ったコーヒーポット』これも一部のクラスでは関心が高い作品だった。生徒の感想は「静かな感じで,ポットの方がサビていて使いこまれた感じが描かれている。そして水の透明感がきれい。」「他の絵に比べると地味(派手ではないといった捉え)水の透明感が静けさを感じさせる。」
ゴッホの『洋ナシのある静物』地場産品として,生徒たちにとってラ・フランスはなじみがある。「あ!ラフランス!」と声にしていた生徒もいた。この作品の好みはクラスによって好みがわかれた。一部のクラスで圧倒的に人気のある作品だった。「いびつなの形がいい。なんか(僕たちの)クラスみたい。」「光を感じさせるけれど,何処となく輝かしい感じはしない。地味・・・(目立たないの捉え)」「唯一背景がある絵で面白い。」
個人的に,「(僕たちの)クラスみたい」と発表してくれた生徒の意見は捉えが素敵だなぁとかんじました。
最後の振り返りに書かれていた「上田薫さんの作品をインターネットで調べてみたい。もっと見てみたい」といった気持を大事にしたいと思う。補助資料として,代表作の「生卵」を見せたら,再度驚嘆も聞かれました。補助資料の『生卵』教科書に掲載されていないところが気に入っています。
学期に指折り程度しか,時間をかけてみることは難しいです。しかし,「1年生の時にこの作家の作品を観たね。」といった会話を大事にしてほしいと思います。
蛇足であるけれど,本日の折り込みに千葉県に新設されたホキ美術館の案内が一面広告で掲載されていた。この記事を読んでいたらタイミング良く,フジテレビ特ダネでも紹介されていた。笠井アナもカタログを見て「これ言われるまで,絵って思えないですよ!」と驚いていたけれど・・・。
写実絵画を追求したいと感じた未来の大人たち。出向いてみる気はないだろうか?
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